分散型エネルギー普及策

No.6  バイオマスは土俵に上がれるか?

 スウェーデンでは木質バイオマスの需要が拡大し、一次エネルギーの2割をまかなっています。これはエネルギー税や炭素税、NOX課徴金によってバイオマスが化石燃料より安くなってのも一因です。

 バイオマスという定義もわかったようなわからないような言葉です。一般には草・木・水生植物、海藻・生物系廃棄物等の植物資源をいいます。中央アジアでは家畜の糞を燃料にしている話がよく出てきますがあれも立派なバイオマスですね。世界規模では数十%はバイオマスだそうです。私が子供の頃には薪を使っていました。あれもバイオマスですね。

 

   日本はバイオマス大国をめざすべきです。なんといっても国土の67%が森林です。そして、いま、農業と同様、林業で生計をたてるのは難しい。でもバイオマスが産業になると、新たな雇用の創設になるし、立派な国産エネルギーになるはずです。温暖化対策にもなるし、雇用対策にもなるし、山林の荒廃を防ぐ手段にもなるはずです。

 今失業率が5%を超えて製造業は中国に逃げてしまって、どうやって雇用を確保するんだって議論をよく聞きますが、一方で農業や林業は絶滅寸前です。ド田舎の出身なのでよくわかりますが、農業や林業では生活していけないのです。でもサービス業がなくても世の中は回っていきますが、食べ物なくしては生きていけません。発想の転換が必要だと思います。

 日本の山林は荒廃しています。製材の過程で発生する端材は売れにくいそうです。樹皮等捨てるしかないものは産業廃棄物ですから処理費用がかかる。

 これらをバイオマスエネルギーとして利用できると再生可能エネルギー発電量はかなり増えることになります。発電には燃焼発電として蒸気タービンを回す蒸気発電とガス化発電としてバイオマスを800℃程度でガス化し、発生した可燃性ガスを発電に利用する方法とがあります。

バイオマス発電等の実態調査の研究が以下にあります。http://eneken.ieej.or.jp/yousi/sai0107.html

 電力自由化が進んでいない現状では発電した電力は地域電力会社に買い取ってもらうしかありませんが、買取価格は安く採算がとれない状態だそうです(日中でも`hあたり4円未満、風力で89円です)。バックアップ電源を頼まなくてはならないので、電気は使わなくても月額100万円以上になる基本料金も必要です。実際に試みた業者によると、バイオマス発電だけでなく、端材や樹皮を燃やして熱エネルギーとして使うことも一手段にすべきだそうです。

 というローカルな話題の一方で、デュポン、ダウ・ケミカル、鐘淵化学、P&Gなどの化学メーカーに、トヨタ、カーギル、さらに商社、米国ベンチャー、プラントメーカーが参入して穀物資源市場争いが起こっているそうです。バイオテクノロジーの革新で植物資源が新素材、新燃料に生まれ変わるそうな。カーギルの「とうもろこし」に対抗してトヨタは「さつまいも」でプラスチックを製造するそうです。石油系プラスチックに取って代わる日が待ち遠しいです。バイオアルコール燃料は、ガソリン並みの価格になる可能性が高まったそうですし、けっこうなことです。

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