分散型エネルギー普及策
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7 風力の実力は本物か?
ドイツでは買取制度によって風力が600万`hを超え世界最大の風車大国になった。普及策を採るヨーロッパと推進策を採らない日本の格差は開くばかりだ−との声をよく耳にします。確かに政策があるとないとでは大違い。でも各種普及策をとれば日本もドイツやスペインやカリフォルニア並に風力が普及するのでしょうか?
風力は言葉通り風まかせでヨーロッパの平坦な風に比べ日本では乱流が多いので風力発電の発電量は予測値を下回ることがほとんどです。風力は風が弱すぎても強すぎてもいけない。ただ風がふけばいいというわけではないところに難しさがあります。現在の風力発電は15万`h、2010年の目標は300万`h、でもこのままでは100万`hが限界との声もあります。そもそも風力に適した土地は東北・北海道の北日本に限定されます。
一昨年、風力発電所を見にいきました。太平洋に面して、1基だけ丘の上に立っていました。当然無人です。改良されたとはいいますがそれでも音はうるさい。ウィンドファームとなると結構うるさいし、景観を乱すおそれもあるし、環境アセスの対象にする必要性も出てきます。
風力発電を建設したけど、思ったように風が吹いてくれないというような悩みも多いそうです。そのうえ、乱流が多く思ったほど発電できないとなると、やはり洋上風力開発に乗り出すべきと思います。
洋上発電だと騒音の心配もありません。日本の海岸線は34,000キロと長い。洋上発電開発を含めると陸上の14倍になるという見通しもあります。経済性も利用可能性も高いということです。
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/819/819-1.html
もうひとつ、風力の普及をさまたげているのは各種の法規制の山です。法律はどうしても現実に遅れる。風力発電を導入するにあたっては、「電気事業法」「自然公園法」「農地法」「航空法」「建築基準法」「騒音規制法」「森林法」「道路法」「電波法」「消防法」「景観条例」等の規制を受けます。
風力発電所(ウィンドファーム)を町中に建設するわけにはいかず、総計530万f(国土の14%)に及ぶ自然公園地域に建設されることが多い。でも1957年に制定された自然公園法は当然風力発電所が建設されるケースを想定していません。
また、風力発電が大型になってきたこともあって、景観への影響、騒音、生態系への影響によって地元の同意を得られないケースもあります(岩手県ではイヌワシが生息している可能性から結局建設を断念したケースがあります)。福島県では2001年1月環境影響評価の対象に風力を含める条例が設けられました。環境保護のシンボルだった風力発電も地域との共生、環境との調和といった新たな調和が求められる時期になっているといえます。このハードルをクリアして、沖合いをみるとオフショア・ウィンドファームが見える日がきてもらいたいです。デンマークに対抗してもらいたいなぁと思います。