経済的インセンティブ

No.10 軽油引取税とバイオ燃料   2002・9・23

    ガソリンに対しては、1リットルあたり、原油等関税が0.215円、石油税が2.04円、ガソリン税(揮発油税+地方道路)が53.8円、そのうえ消費税が5円ほど課税されています。いまガソリンの値段は1リットルあたり100円前後ですから、そのうち61円は税金ということになります。なかでも消費税は酷税で、税金に税金が課せられるタックス・オン・タックスになっています。

  一方、ディーゼル車は軽油を使います。ディーゼル車はガソリン車に比べてエンジンの熱効率が高く、耐久性も優れているのでトラックやバスの大半がディーゼル車です。でも、ディーゼルエンジンは喘息などの呼吸器系の病気につながります。

  軽油に対してはガソリン税が課されまるのではなく、軽油引取税という都道府県民税が課されています。1リットルあたり32.1円です。ガソリンスタンドでガソリンと軽油の値段が違うのはこの税率の差のせいです。軽油引取税はガソリン税に比べて安いのでディーゼル車優遇制度と批判されているものです。

  東京都ではディーゼル車NO作戦を始動しています。ディーゼル車を規制する都条例が2003年10月施行される予定です。

  同じディーゼルでも環境に優しいディーゼルもあります。BDF(バイオ・ディーゼル・フュエル)と呼ばれる大豆や菜の花油の廃油等を利用したものです。石油燃料にくらべて二酸化炭素や黒鉛などの有害物質が少なく、植物が栽培される限り枯渇することがない持続可能なエネルギーです。

  軽油と成分が異なるバイオ燃料は軽油引取税の課税対象外でした。ところが2001年1月に「これまでの解釈に誤りがあった」として突然、課税方針に変更しました(これはバイオ燃料を2割混ぜて使っていた京都市バスのケースです)。

  発泡酒が売れると酒税の税率をビール並に上げようとするのと同じ理屈です。明確な説明をしないまま、税源を守るために新しい製品やサービスに課税するのでは、新しいアイデアは摘み取られるばかりです。

  ただ、明るい兆しもあります。バイオ燃料に対する軽油引取税の課税方針は来春には変更されるかもしれないとのことです。この冬に菜の花を育ててBDFに使おうという菜の花バスプロジェクトの話が進んでいるので、ほっとしているところです。

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