経済的インセンティブ
No.9 炭素税〜導入すべし〜
実際の炭素税は税金なので、課税するためには、○○税法を改正して炭素税に改編するか、炭素税法を新設して導入するか、道は2つだけです。
こんな不況のなかでは新税は難しい。じゃ、既存税を炭素税に改編できるかってことになります。炭素税は炭素含有量に応じて課税する税金です。炭素を一番多く含むのは石炭、ついで石油、化石燃料のなかでは(比較的)クリーンなのが天然ガスという順番です。
つい最近、国内の炭坑は全て閉鎖されました。石炭は保護産業なので石炭に課税できるか、というのが論点のひとつでしたがこれからは輸入炭のみを考えればいいので、石炭を例外にする必要はなくなります。一次エネルギーの17%くらいは石炭ですので、当然課税対象とすべきでしょう。
石油は税金の固まりです。いまガソリンは1g100円前後ですが、ガソリン税だけで53.8円、その他原油等関税が0.215円、石油税2.04円、そのうえ消費税(これらの税金を含めた値段に消費税を課税することをタックス・オン・タックスといいます。税金に消費税をかけるのは変です。ビールも同じです)が課税されているので70%くらいは税金でしょう。
環境省は2002年6月に、2005年をめどに温暖化対策税導入スケジュールを示しました。 これは新税としての炭素税ではなく、ガソリン税などを環境税へと改編していく方法です。 ガソリン税や軽油引取税は本来の税率の倍近い暫定税率になっています。これを本来の税率にもどして、暫定税率分を炭素含有量に応じた炭素税へ変えていこうというのが骨子です。あくまで税収中立のなかで導入ということになります。
でもこれらのエネルギー関連税は複雑な流れをへて、悪名高き「道路特定財源」(総額5兆8547億円:2001年度予算)になっています。ですから、炭素税へと改編するには道路族議員のテイコーを振り切る必要があります。
炭素税というと個別従量税で、税制改革の本流ではないように思われていますが、グリーン税制改革は環境保全型行財政改革につながるものだと思います。