経済的インセンティブ
No.8 グリーン税制改革
現在、炭素税を導入した8ヶ国では、炭素税を導入した効果に対する評価としてCO2排出削減効果は確実に認められています。炭素税に対し消極的といわれる米国では既に酸性雨対策としてイオウ酸化物の排出量取引を導入し、温暖化対策としても市場メカニズムを利用できる排出量取引に熱心です。2002年2月14日のブッシュ大統領の温室効果ガス削減対策でも排出量取引の導入が織り込まれています。
税収中立によるグリーン税制改革とは、炭素税を新たに導入するだけではなく、現行税制全体を環境保全の観点から洗い直して、環境にマイナスの影響を及ぼすような税法上の規定を除去したり、環境汚染原因となる経済活動を抑制しうるように現行税制を改編することをいいます。
炭素税のベースは消費課税に置くべきだと思います。アメリカは直接税重視の国なので付加価値税重視のEU諸国の税制とは異なります。日本はどちらでしょうか。直接税は所得があって初めて課税されるので所得のない人は税金を払っていません。所得があっても課税最低限が高いので、税金を払っていない勤労者の割合は3分の1に達しています。年金をもらう人は雑所得になりますが、年金は拠出段階で控除、もらう段階ではもっと優遇されています。これからの日本は老人社会です(私もその一人)。若い人たちは減っていくばかりです。
社会保険料の負担が増加するのは目に見えています。このうえ、勤労者にだけ税負担を求める制度では誰も働きたくなくなります。逆進性の解消はもちろん必要です(付加価値税を複数税率にすべきと思います)。でもベースは消費課税重視だと思います。そのためには今の抜け穴だらけの消費税をもっときちんとすべきだと思います。
租税は国の仕事をするための税収を得ることが第一の目標です。炭素税のような租税政策手段としての課税は異端モノです。目標が達成されればされるほど税収が減少するのですから。6月をめどに進められている税制改革議論でも環境税は付録に書いてあるだけです。租税の議論でも話題にのぼることはあまりありません。もっともっと議論されてもいいと思うのですが・・・。