経済的インセンティブ
No.11産廃税 〜産廃処理費用を誰が負担するか〜2002・9・27
2000年4月に地方分権一括法が施行され、地方公共団体は法定外目的税を創設できることになりました。地方の税源不足(国の補助金と交付税に縛られて3割自治すら達成できていません)もあって、各自治体が独自の税金を考え出しています。
東京都のホテル税とか、杉並区かどっかのレジ袋税も法定外目的税です。そして三重県がこの4月から導入、岩手・青森・秋田の東北三県と岡山・広島・鳥取の中国三県では広域導入構想があるのが産廃税です。
産廃税も考え方としては環境税です。廃棄物がゼロに近づけば近づくほど税収もゼロに近づく。目的が達成されればされるほど税収が減る(CO2排出量が削減されるに従って炭素税の税収が減っていくのと同じ)環境税は「公共サービスを提供するための資金を調達する」という税の本来の機能からみると異端児になります。
ですが、課税される方からみると廃棄物をなるべく出さないでおこうというインセンティブが働くことになります。これは望ましいことです。ただし、産廃税を出し惜しんで、不法投棄が増える事態になると大変です。ですから、東北三県や中国三県のようにある程度の広域での導入が効果的ということになります。
三重県の産廃税は県内処分場で年間千トン以上の産廃を処理した企業から1トンあたり1000円を徴収するものです。
産廃最終処分場が逼迫しているといわれ続けています(石油があと40年で枯渇するといわれながら枯渇していないのと同じで、毎年・毎年あと3年くらいの残存量と言われ続けています)。本当に逼迫しているんでしょうか。
確かに最終処分場の受け入れ可能量は減少していますが、最終処分量も減っています(97年度は6700万トンだったが、99年度は5000万トンに縮小)。
三重県でも2000年8月には10億円の税収があると試算されましたが、2002年1月に試算し直すと、3億円あまりに減っていたそうです。究極的に望ましいのは税収がゼロ=全てがリサイクル可能となることです。
産廃については汚染者負担の原則に基づいて、排出事業者の責任により確実かつ適正な処理が求められています。「汚染者負担の原則」を拡大した考えが拡大生産者責任(Extended
Producer Responsibility)の考え方です。この考えに従うと製品を作った者が消費後の段階まで責任を負うことになります。
EPRの考えに基づくと、可能な限りリサイクルできる製品をつくることが製造者の責任ということになります。ですから、単に税金をかけるのではなく、マテリアルリサイクルを促すように産廃税を利用すべきだと思います。
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