経済的インセンティブ
No.13 産廃税 その3〜産廃業者は自転車操業?〜 2003・10・22
No11.12で書いたように、香川県では新税の導入に向けた審議が行われている最中です。同様な動き(財政難と地方分権による自主財源・独自課税をめざす動きです)は全国各地の自治体で広まっています。
東京の杉並区はレジ袋税の導入を決めました。まだ実施されていませんが、税収規模は10億円を見込んでいるそうです。香川県の産廃税は税収見込みが2〜3億円ですから、杉並区の規模はすごいなと別な意味で感心しました。
産廃税の課税方式には2つの方式(細かく分類すると3方式)があります。
ひとつは三重県・滋賀県で実施している産廃の排出事業者が納税義務者になる方式です。この方式だと産廃を排出する全ての事業者が対象になります。でも、1年間の排出量が2トンというような小規模事業者まで対象とするのは実務的に不可能なので、たとえば1000トン以下の排出事業者は免除という方式をとることになります。
もうひとつは最終処分場をもつ最終処分業者が「特別徴収義務者」となって事業者に代わって産廃税を納付する。そして、その納付分を排出事業者や中間処理業者に請求する方式です。鳥取県、岡山県、広島県、青森県、新潟県、奈良県などはこの方式です。
この方式の場合は、最終処分業者が納税義務者である業者に代わって納税するわけですから、課税免除の必要はありません。ただ、価格に転嫁できるかどうか(処分料金に含められてしまって別途請求できなくなる場合が考えられます)、力関係で値切られてしまうと最終処分業者の事務負担と経費負担が増えるだけになるおそれもあります。
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中小規模の焼却炉で燃やすとダイオキシンを発生させる問題もあって、各地で大型の焼却炉が作られています。一般廃棄物の広域処理をすすめたのはいいが、リサイクルが進んでいることもあって、各地でゴミが足りない事態になっています。
同様のことは産廃についてもいえます。産廃の最終埋立量はいちばん多い時期の半分程度まで減っているそうです。最終処分量が減ることは「循環型社会の構築」のためには望ましいことです(^。^)
ただし、産廃税も導入されて最終埋立処分の料金が一層たかくなる→お金をけちって、大型のガス化溶融炉による焼却を一層ふやす→これによってできる溶融スラグや金属類をもってリサイクル産業と称する(またまた、補助金をあてにする)。。。。という悪循環は当然、望ましくありません。
同様の悪循環は最終処分場をもつ産廃処理業者についてもいえることです。迷惑施設である管理型処分場を新たに作ることは周辺住民の反対もあって年々難しくなっています。
意見交換会に出席していた最終処分業者は処分場の建設に90億円かかった(補助金はないので、全額、借入だそうです)とのことでした。大きく掘った穴に産廃を受け入れることによって、この莫大な借入金を返していくことになります。
処理料金は高騰傾向にあるそうですが、もっともっと処理料金を高くして、かつ、大量に埋め立てないと借入金の返済はできません。大量に受け入れると収入にはなりますが、巨大な穴がすぐに満杯になってしまうジレンマを抱えることになります。
穴が満杯になった後も、管理を続けていく(=収益はゼロですが、管理費用が必要です)必要があります。その一方で新たな土地をみつけて住民対策も行う必要があります。どうみても割のいい商売ではありません。どこかで破綻してしまう商売なのでしょう。
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一廃にしても産廃にしても最終処理にばかりお金をかける方法は持続可能な方法ではありません。なんとかして、排出するゴミの量を減らす方向へ転換しないと、狭い、限られた土地に処分場ばかり作る、大量のゴミが出ることを前提に燃やすことばかり考える、
・・・この2つの方法だけでは環境にやさしい未来は建設できそうもなりません。
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