経済的インセンティブ
No.14
プライベート・ファイナンス・イニシャティブ(PFI) 資金調達方法の多様化 2004・1・9
豊島事件の解決のためにも中間処理施設の建設等に280億円の税金が投入され
ました(2/3は国からの補助でまかなわれます)。これまでゴミ処理施設などは、税金で施設を建設し公共事業を行ってきました。
「税金はわたしたちのお金」とはいいな がら、直接の負担になるわけではないので、必要以上に豪華な仕様にしたり、運営管理
に経費がかかるなどムダが多いと指摘されてきた点です。
ちかごろ、言葉だけはよく聞くプライベート・ファイナンス・イニシャチブ(PFI)とい
うのは民間資本を活用した社会資本整備に方法です。これまでの公共事業は自治体が仕 様書を決めたうえで発注→入札という方法でした。
PFI方式だと自治体がどんな施設を 造りたいかを大まかに発注→民間側がグループを組んで事業計画を作成します。各グル
ープから提出された「事業計画案」を吟味して落札者を決定する方法です。民間企業は 建設に必要な資金を銀行からの融資で調達します。自治体側は建設費等を数十年の分割
で支払う仕組みになっています。
もともとPFIは1992年にイギリスで初めて導入された制度です。例の「小さな政府」
政策のひとつでした。日本でも法律を整備して1999年にPFIを導入。以来、2003年7 月末までに事業数は105に達しています。
「プライベート」という名前がつくだけで「民営化=望ましい」ようなイメージがあ
ります。でも資金調達方法がかわった(=一括払いではなく分割払い)だけでハコモノ をつくることにかわりはありません。そのうえ初期費用が少なくてすむので、今まで以
上にムダなハコモノを造ってしまう危険性もあります。
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例えば、最近は市民風力とか太陽光発電とか、一口数十万円の出資を市民から集めて 造るハコモノもあります。一口5万円とか10万円とかの出資だとまだ拠出しやすい
面はありますが、それでもリスクは大きいし誰でもこれだけの出資が可能なわけでは ありません。
このような再生可能エネルギー発電主体にPFIを利用する方法も考えられます。ただ
事業主体が第三セクターになると、結局行政の亜流なので天下りの温床、ムダが温存さ れることになりかねません。
住民のニーズを汲み上げたうえで、PFIを効率的に利用する事業体が「雨後の竹の
子」の如くたくさんできるといいなと思います。そして、それを促すためには税金逃れ の「エセNPO法人」を淘汰して公益性をもち、かつ、事業基盤のしっかりしたNPOを
増やす必要がありそうです(NPOはもっともっと力を持つべき、というのが持論です)。
いまは資金調達方法も多様化しています。寄付ではなく、かつ、リスクの少ない調達
方法が増えるといいなと思っています。
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