経済的インセンティブ

No.3  経済的手法のポリシーミックス

 No.1炭素税にすべきかか、はたまた、No.2排出量取引にすべきかかってことがよく議論されます。炭素税は世界中で一斉に始めればフリーライダーの問題とか国際競争力に配慮する必要はないのですが、実際は一斉導入は困難。一国での導入になるし、転嫁についての逆進性の問題やエネルギー多消費型産業・国際競争力を勘案した税の減免が必要になるので虫食いのような税制度にならざるをえません。ただ、川上で課税するし、世界に冠たる国税一家が築いた徴税システムを利用するので行政コストは安くなります。

 一方の排出量取引は排出総量が確定するので効果はわかりやすいのですが、中小零細企業全てを含めるわけにはいきません。経済産業省で議論されている方法も産業界別の大まかな方法です。公平性の観点から問題が多いということになります。そのうえ、執行費用がかかります。

  理論は理論、ブループリントであり、それぞれの国の実情に合わせて適用していく必要があります。低率の炭素税(3000/t-C)でも税収使途を組み合わせると、1990年比2%減の効果がもたらされると試算されています。国際排出量取引に炭素税収を活用する後藤モデルもあります。

 地球環境問題は総合政策です。経済的手法、規制的手法、自主的取組のポリシーミックスが求められていますが、経済的手法の中でのポリシーミックスも必要だと思います。 

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