経済的インセンティブ

No.6  どのような炭素税にすべきか?

 炭素税というと全くの新税でガソリンや電気の値段が高くなると考えがちです。でもNo.4で示したように石油や石油製品はすでに税金の固まりになっています。半分以上が税金であるビールは税金色の泡を飲み、ガソリンは税金付き排気ガスを出しているようなものです。

 現在のエネルギー関連諸税は石油に、そして消費部門では自動車に偏って課税されています。この歪みを改編したうえで炭素税賦課となるとガソリンはかえって安くなってしまうかもしれません。これはどう考えたらいいんだろうと随分悩みましたが、運輸部門については最終的には脱ガソリン車をめざすべきでしょう。

 200225日の小泉総理の施政方針演説でも「美しい環境に囲まれ快適に過ごせる社会」として温室効果ガス対策として原子力発電の推進とともに燃料電池の開発をあげています。3年以内の実用化を目指すそうです。インフラ整備や価格の問題、買い換えにかかる期間などを考えると1020年のスパンで考える必要がありそうです。それまでは、クルマの消費抑制(公共交通機関の利用、カーシェアリング)とガソリン消費抑制(低燃費車の推進)の両輪で考える必要がありそうです。

 電気については電力自由化が求められていることもあって値段の安い燃料源となるとどうしても化石燃料となります。いくら脱イオウ装置等を取り付け環境対策を講じているといっても石炭火力発電所は望ましくない。そうなると別の燃料源の方が安上がりといえるくらい化石燃料が高くなる方が望ましい。しかし、高率課税の炭素税の賦課は困難。

 結論としては国内排出量取引炭素税グリーン証書の組み合わせによって燃料源の転換をはかるべきでしょう。脱化石燃料というとどうしても原子力の問題が出てきます。確かにCO2を出さないし、ベースロード電源としての安定性の観点からも現在は必要でしょう。でも50年後に必要でしょうか。反原子力の逆風に対し、お金をばらまくことによって新増設をはかるという手法は古すぎます。

 政府や電力会社側は「原子力は唯一の国産エネルギー、これしかないんだ」との立場です。中長期的には水素を第二の国産エネルギーにすべく長期エネルギー計画をたててもらいたいものです。

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