分散型エネルギー普及策

No.9 車にバイオ燃料推進 2002/11/28

 <経産省が車にバイオ燃料を推進する法案を提出する方針を固めました。>

 再生可能エネルギーのなかでバイオマスエネルギーというのは地味です。新エネルギーの定義の中に去年やっと加えてもらったばかりです。風力や太陽光と違って、まだまだ実用化はすすんでいません

  バイオマスとは「動植物が元になっているエネルギー源」のことです。農産物、木くず、廃食油、家畜の汚物などのことをいい、@木質系バイオマス、Aエネルギー資源として栽培される植物、B家畜の糞尿、に分類されます。

  何度も書いてきた菜の花バスプロジェクトはAです。菜の花を育て、菜種油を絞り、その廃食油を利用したBDF(バイオ・ディーゼル・フューエル)をディーゼルの替わりに使うものです。 植物油なので、植物をまた植えるとカーボンニュートラルになるし(植物・森林は炭素の吸収源になる)、植え続ける限り持続可能な燃料となりえます。

 ディーゼルのようにNOx(窒素酸化物)やSOx(イオウ酸化物)が発生しません。市販のディーゼル車にそのまま使えます。そして経済産業省が揮発油等品質確保法によるバイオ燃料の普及を促す政策をとってくれるとなると、「鬼に金棒」の気分ですが・・・。

  ただ、バイオ燃料自体にも当然欠陥があります。エネルギー効率が低いことです。市営バスの中にはBDFを20%混ぜて使っているところがあります。バイオ燃料だけでは馬力が出ないのでディーゼルと混合して使っているということです。 本当にBDF100%では馬力が出ないのでしょうか?11月24日の豊島の菜の花バスはBDF100%でバスを運行しました。ちゃんと動きました。

 なぜ混合では困るかというと、経済面からみて混合油だと軽油引取税の課税対象となる、ということがあります。BDFはリットルあたり30円程度が製造原価だそうですが、これに1リットルあたり32.1円の税金を課せられると化石燃料に対抗できなくなります。

  そして、この「揮発油等品質確保法」もくせもののように思えます。新聞報道によると、これまで規制のなかったアルコール混合燃料のアルコール濃度の基準を定めるそうです。 個別に審査して安全や環境面で問題がない場合には認可する制度を設けるそうで、基準を超える燃料は販売禁止になります。要は新たなバイオ燃料促進名目の規制法でもあります。

 2002年6月の国会で電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(新エネ発電法)が成立しました。RPSという新エネルギー間の競争を促す仕組みを取り込んだ画期的な法律になるはずであったのに、実際は、新エネルギーのなかで一番価格の安い廃棄物発電ばかりがふえて、本来促進すべき太陽光・風力・バイオマスがあまり進まない可能性も秘めている法律です。

 バイオ燃料促進を進めるためには、バイオ燃料を軽油引取税の課税対象からはずすこと、そして、規制的手法ではなく、バイオ燃料を選択する方が環境的にも経済的にも有利になるような経済的手法を採ってもらいたいものです。

<< 前へ ==== 次へ >>

「分散型エネルギー普及策」の目次へ戻る